日本財団 図書館


 

へ1544.5MHzのダウンリンクで送られ、そこでそのビーコンの位置測定が行われる。そしてこの位置データと遭難通報はMCC(Mission Control Center:ミッション制御本部)を経由して捜索救助活動を直接指揮するRCC(救助調整本部)や、他のMCCあるいは適当なRCCに通報され、救助活動が開始されることになる。
ビーコン位置の決定はドップラ効果の測定で行われるが、位置を出す方法は現在NNSS(Navy Navigation Satelliteで行われている方法の逆の方法が用いられる。NNSSの場合は衛星の速度によるドップラシフトを船で測定して、計算し、鉛の位置を決定するのであるが、EPlRBの場合はNNSSの場合とは逆に衛星側で測定して陸上局でEPRBか位置を算出するのである。ドップラシフトによる位置決定の場合、天測による位置の線の交点が2つできると同じように、2つの位置の交点ができ、2つの位置を与える。当然の事ながら、1つが真の位置であり、他の1つは偽の位置である。この2つの位置の真偽は同じ衛星の第2回の通過のとき、または他の衛星の通過によるときの計算によって見分けることができる。
衛星は4つが使われ、2つはコスパスであり、池の2つはサーサットである。このシステムには実時間モード(レピートモード)と、全世界カバーモード(グローバルモード)の2つのモードがある。
実時間モードというのは、ELT又はEPIRBから送信された信号が、衛星経由で直ちに衛星のカバレージ内にあるLUTに打ち返されるものである。この場合121.5MHzのELTでは、衛星はELTの信号をそのまま中継してLUTに送るが、406MHzのEPIRBでは、衛星はドップラシフトを測定し、ビーコン信号からのデジタルデータを再生して、これらの情報に時刻をつけ、再生されたデジタルデータとしてLUTに送ると同時に、このデータを衛星内に記憶する。
全世界カバーモードは上記衛星内に記憶されているデータは送信し続けられるので衛星がLUTの上に来たとき、運用中のLUTすべてに受信されるようになっている。
インマルサット海事衛星通信システムの概要
海事衛星通信システムは、3つの大きな構成部分からなっている。それらはインマルサットによって供給される衛星部分、海岸地球局及び船舶地球局である。このシステムの中枢センターはインマルサットのロンドン本部に置かれている運用制御センター(the operation control centre:OCC)であり、24時間体制で常時システムの管理、通信活動の調整を行っている。
インマルサット衛星は、前述のように大西洋、インド洋と太平洋上空の赤道上約36000?の静止衛星軌道上にあり、ほぼ全世界的な有効通信範囲をもっている。
(図8・3参照)
図8・4に示すように船舶(船舶地球局)から発信された1.6?z帯の電波は衛星で受信され、4GHzの電波に変換して、これを海岸地球局に送信される。陸上からの信号は逆の経路をたどって海岸地球局から6?z帯の電波として衛星に向けて送信され、衛星はこれを1.5GHz帯の電波に変換して船舶地球局に送信する。
衛星はこれら通信の中枢機能の役割を果たしている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION